皆様、お元気でいらっしゃいますか。5月になりました。素晴らしい季節です。4月は何はさておき、NHKホールでの越路吹雪を歌う『愛の讃歌』コンサートに向けての準備をしておりました。当初NHKホール公演が決定を致しました時、お客様がご来場くださるかどうか、とても心配しておりました。とにかく1日で3500人を超える席数です。古典芸能鑑賞会では度々NHKホールに出させて頂きましたが、いかに越路さんの名前が有ったとはいえ、私達の歌のコンサートでご来場頂くという事は並大抵の事ではないと思っていたからです。しかし宝塚の主役を務めておられました「真琴つばささん」「姿月あさとさん」「大空ゆうひさん」「水夏希さん」「霧矢大夢さん」「凰稀かなめさん」、ミュージカル俳優の「海宝直人さん」、そして演奏家の方々にも支えられながら、お陰様で満員御礼となりましたことは本当に有難いことだったと思っております。前日にはNHKホールで舞台稽古も出来ましたし、また4月8日には真琴つばささんと姿月あさとさんと3人で、伊勢崎で初日を開けられたという事もありまして、少しは落ち着いてNHKホールの舞台に向かう事が出来ました。当然伊勢崎でも前日に舞台稽古が有りました。御協賛頂きました。「BVLGARI」様はじめ、「airweave」様。「和久傳」様。「OPS」様「蘇州市」の応援のお陰でもございます。このコンサートに向かって去年から色々用意していたものもあります。特に今回使いましたキラキラのスパンコールの衣装は、去年日生劇場における越路吹雪さんの37回忌のコンサートの際に、もしかしたら将来またコンサートがあるかもしれないと思っていたので、去年2月ニューヨークからイタリアのフィレンツェ、ヴェネチア、ボローニャ、アッシジなどを周って参りました時に、私の大好きなフィレンツェの「カーサデ・テッスウテ」という生地屋さんに寄りまして、なんとなく生地を見ておりました時に見つけたものでございます。そしてこの度のキャストが決まりましてから早速お正月にイタリアに7着分を発注致しました。当初は2月の中旬頃に出来てくるという事だったのですが、おおよそ女性のドレスが1着分で、5mから6m程使うということで、その7人分ということになりますと、現在その店には生地がないので、生地屋さんが早速フィレンツェで作って送って下さるという事になったのです。ところが、それが1ヶ月遅れの3月20日に到着ということになりました。縫製の方々にも大変なご苦労をお掛けしたと思います。少し光りすぎではありましたが、NHKホールの大きな空間で華やかに皆着用できたこと、宝塚OGの方々にもお喜び頂きまして、1幕はイタリアのスパンコール、2幕は黒という設えでコンサートを開くことが出来ました。4月末には山口、広島、と回りまして、今は大阪のコンサートに向っております。その後、秋まで地方を回って参ります。。
今回のコンサートがどういう風に発展していくか分かりませんが、お客様に、ベストを尽くした歌をお届け出来るようにと思っております。
さて、4月にもご報告でも申しましたが、4月、5月の空いている時間を使って『幽玄』の編集、色調整、そして音楽のMA(ミュージック・オーディオ)をしておりました。この作業は織物をおるように一つ一つを丁寧に仕上げていく作業なのです。また去年の『楊貴妃』の編集もしておりました。またホリプロダクション様から古典を残すというコンセプトで、観世清和さん「観世流お家元」の『羽衣』を4Kで撮るというビデオ監督を任せて頂きまして、その編集もしておりました。大きな作品を仕上げますには編集室に入っての大仕事なのでございます。一演目が1時間、2時間の作品を綺麗に仕上げていくということはスタジオにこもりっきりになるのです。贅沢に作業を進めさせて頂きまして、午後1時から夜は夕飯を挟みまして7時か8時までの作業としております。作業をあまり詰め込みますと、編集点も画面も見えなくなり、音も聞こえなくなってくるところがあるのです。オペレーターの方たちも大変ご苦労かと思いますが、本当に実演とはまた違った残る映像です。いずれはCDやDVDやブルーレイなどで改めて時間と空間を変えまして、お客様にご覧いただく大切さを考えています。また来年のお正月に『孤城落月』と『楊貴妃』がシネマ歌舞伎になるという発表はされているようでございます。この中にも、何か一つこのシネマ歌舞伎の独特の一コマを皆さまの為に、特典映像として作って行きたいと考えて計画をしております。
この4月の半ばには久しぶりに佐渡へ行って参りました。今年の東京はとても早い桜で4月になる頃には散ってしまったのですが、佐渡には4月の半ばであるにも関わらず、誰もいない満開の桜の公園を楽しむことが出来ました。去年秋から続いて参りました歌舞伎公演の間に素晴らしい自然を味わうことが出来ました。これからしばらく歌舞伎座の舞台とは離れますが、次の公演に向かって身体などの準備をしていきたいと思っております。
それでは皆様健康にご留意なさいまして素晴らしい初夏をお迎え下さいませ。