皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。今年の8月は大変暑い日が続きました。まだまだ残暑が続くと思っておりましたが、思いのほか8月の後半の4、5日涼しい日がありました。この時期は台風の心配もしておりました。関東の方は大きな被害がなかったのですが、九州地方には大雨があり、大変な被害でした。お見舞い申し上げます。これから9月はどのようなお天気になりましょうか。
八月納涼歌舞伎三部の「新版 雪之丞変化」もお陰様で無事に千秋楽を迎えることができました。今回は日下部太郎(山崎咲十郎)さんに新しく書き下ろしていただきました。前々からいつか新しい作品を・・・というお話をしておりまして、今回の納涼歌舞伎に至ったのでございます。「雪之丞変化」という作品は長谷川一夫さんの映画で大変有名でございまして、仇討はこの作品の一つの大きな物語の筋となっております。今回は「役者というものや、女形というものが敵討ちを抱えながら、どうやって生きていくのか。」という筋立てで一つのお芝居になればと考えておりました。また、雪之丞の生い立ちなどを演じましても映画とは違いますから、一つの象徴的な舞台の語りだけで皆様にお聞かせする・・・という形に致しました。舞台装置もなるべく簡素な舞台に致しましたし、歌舞伎座の空舞台をお見せするという演出に驚かれた方もいらっしゃると思います。しかし他の劇場では空舞台で上演される作品などは多くあります。
特に30数年前にニューヨークでピーターブルックさんのブルックリン・バムで上演された「桜の園」こそ私は空舞台の素晴らしさに圧倒され今でも忘れることができません。私もこれまで色々な演出で空舞台を使ってきましたのでそれほど抵抗はありませんでしたが、よく考えてみますと歌舞伎座の空舞台は初めてだったなあ・・・と思いました。大変多くのお客様にも足をお運びいただきまして大変充実した8月を過ごさせていただきました。これから先もどのような新しい作品を作れるのか分かりませんが、とにかく皆様にお楽しみいただける作品をと考えております。
9月は片岡愛之助さん、中村七之助さん、市川中車さんによる南座での「東海道四谷怪談」の監修として京都に伺っておりまして、2日に初日を開けるわけでございます。
また9月の6日~8日は、新しい御園座で初めての舞踊会を開催させていただきます。
その後は10月の新作「二人静」の作品に向かっていこうと思っております。
9月の後半からは涼しくなるという予報が出ておりますが、皆様どうぞお身体大切にお過ごしくださいませ。