いよいよ師走となりました。「濃厚接触者」としての「隔離生活」も終わりました。11月の22日から、4回にわたる「PCR検査」も全て陰性の報告を受けました。多くの方々からお見舞いの御言葉を沢山頂きましたこと、有難い思いでいっぱいでございます。今日まで「隔離生活」を送っておりましたが、その時点で、自分の健康状態に全く異常が無いにも関わらず、歌舞伎座を休演しなければならことは、とても苦しく、このような事はそれ以前にも今後も考えられないことだと思います。初日から7日までは菊之助君や、彦三郎君が代役を務めてくれました。私は6日と7日の夜の二日間の舞台稽古にかかりますが、8日は歌舞伎座が休演となりますので、9日から出演させて頂きます。こういう時期を経験しますと、やはり舞台に立ちます気持は、何物にも代えがたいと痛感するのでございます。「日本振袖始」の「岩永姫」は大役でございます。日本の神話でありながら、歌舞伎舞踊として華やかな出し物となっております。岩永姫は大蛇でありながらも、姫として生まれた悲しさを秘めております。歌舞伎という演劇は、良い意味で飛躍しておりまして、姫が娘を人身御供として餌食にしてしまう恐ろしさも含んでいるのです。舞台ではお客様には現実をお忘れ頂けるように、精一杯舞台を務めさせて頂きます。
ここで11月の報告でございますが、20日までは、様々なお仕事をさせて頂ました。エアウィーヴのCMを京都で撮影いたしました。10日と11日は「ブルガリ」さんの、お客様や、限られた少人数のお客様で、ブルガリのサロンで、小さなコンサートを開催させていただきました。また先日京都で発表になりましたが、一月は松竹座に出演させて頂きます。松竹座の「口上」では皆さまに華やいだ雰囲気を味わって頂けるように、数枚の打掛をお見せいたしたいと思っております。これまでも各地で「口上」を述べさせていただきましたし、9月、10月の歌舞伎座でも「口上」を述べさせていただきました。このお正月は獅子舞やお正月の設えを十分に出来ないということもありますので、皆さまに少しでもお楽しみ頂けるようにと色々と考えました。二幕目は「賤の小田巻」を上演させて頂きます。これは近年、歌舞伎座では上演致しておりません出し物です。昔私が舞踊のお稽古をしておりました時に度々上演しておりました。大阪は3年ぶりのお正月公演でございますので、何か新しいものをお目にかけようと思いまして、花柳さんに振り付けをしていただきました。そして三幕目は、花柳壽應先生が振り付けをしてくださいました「傾城雪吉原」でございます。残念ながら壽應先生はこの9月にお亡くなりになられました。11月には東京宝塚劇場で初日を迎えました、宝塚レビューの振り付けを壽應先生、私が監修を務めさせていただきました。壽應先生は東宝でも長年お仕事をされておられましたし、宝塚の公演も大変に愛していらっしゃいまして、「宝塚月組」の日本舞踊レビュー「月・雪・花」の振り付けが遺作となりましたことが何か不思議なご縁のような気がいたします。また、お正月に壽應先生の作品を上演させていただきまして、これまでの事を懐かしく思い出し、色々と作っていただきましたことを有難く思うのでございます。
今月の12月と、1月はソーシャルディスタンスを組んで、ご来場下さいます皆様の安全を第一に考えまして、舞台を務めさせていただきます。
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