皆様いかがお過ごしでしょうか。師走になりました。11月からは世の中の状況が緩和されまして少しホッとしました。この暮れお正月は少し心配もありますが、一段落したような気もいたします。
さて、12月は歌舞伎座で13年前に初演しました「信濃路紅葉鬼揃」の再演でございます。私以外の五人の「鬼女」は初めての俳優さんですので、お稽古に時間をかけました。このお役は歌舞伎の舞踊とは少しの違いがあり、大口を履いたままの、前シテと後シテということで大変苦戦されたと思います。12月に「紅葉狩」というのは昔では考えられなかったことだと思いますが、11月の後半に世の中が冷え込んでまいりまして、街路樹の銀杏や紅葉などもしっかりと紅葉してまいりました。皆様是非歌舞伎座にご来場くださいますようお願い申し上げます。
去年の9月から歌舞伎座では様々な出し物をと考えて参りましたが、やっと1年半が過ぎようとしております。11月4日には大手町にございます「Grand Maison ORENO」でのコンサートを開催させていただきました。そして熱海MOA能楽堂での舞踊公演もございました。熱海MOA能楽堂は1982年に完成しまして、私は1988年に初めて出演させていただきました。能楽堂で舞踊を上演させていただきましたことが様々な意味で良い経験になりました。緞帳や定式幕のない橋掛かりだけの退場で、時空を動かすということを学べたことによって、その後の舞台の演出を考える上で非常に役に立ったことを今改めて感じるわけでございます。当然歌舞伎座での公演もそうですが、舞踊公演においても、このような経験を生かしてその後の演出が出来たのです。
2日目は残念ながら雨になりましたが、熱海は大変気候が良く連日満員のお客様にご来場くださいました。誠に有難いと思っております。気候変動による熱海で災害がありましたことをお見舞い申し上げる次第でございます。しかしながら私たち役者の役割と申しますのは、様々な魂を舞台上で慰めることが使命のように思います。そんな思いを込めまして熱海の能楽堂で務めておりましたが、やはり開場しまして、舞台上で舞踊など始まりますと能楽堂の空間は特別なものでお客様も様々な心の旅をしていただけたのではないかと思っております。東京に帰りましてから明くる日の26日には、「富山清仁地歌箏曲演奏会」が開催されました。清仁さんが初めて地唄の「雪」をお唄いになり、私が舞台を務めさせていただきました。こうして次の世代の方達が日本の芸能を受け継いで行って下さることは大変な喜びでございます。これからも一緒に舞台で活動をして行くとも思いますので、皆様どうぞお願い申し上げます。皆様も師走のお忙しい事と思います。寒さも厳しくなって参りました。どうぞ身体お大事にお過ごしくださいませ。それではまた、歌舞伎座などでお目にかかりましょう。
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