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2023年 7月


 皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。6月の半ばには梅雨に入り、すでに7月になりました。雨の日もあり、曇りの日もあり、少しの晴れ間もあり、夜には少し冷える日もあるという複雑な梅雨です。

 この6月8日から18日までの10日間、銀座の和光内にございます、「セイコーハウス銀座ホール」において私の衣裳展を開催させていただきました。大勢のお客様にご来場いただきましたこと誠にありがとうございました。その間に一日だけトークショーを開催させていただきました。衣裳に対する私の考えや思いなどの説明を40名のお客様をお招きしてお話させていただきました。多くのお客様からの応募があったにもかかわらず、限られた客席でご入場いただけなかったことを申し訳なく思っております。しかし、これらの衣裳を目の前にして私の思いを述べさせていただきましたこと、お客様にご理解いただきましたことが、私には初めての経験でした。舞台の上でお化粧をして、鬘をかぶって、衣裳を着て、お客様に説明しながら見ていただくということはありましたが、こうしてトークという形で皆さまの前でお話させていただいたのは初めてでございます。

 また、6月の12日からは南座で「星降る夜に出かけよう」の初日を開けさせていただきました。私が歌舞伎以外の俳優さんの演出をさせていただくのは久しぶりになります。多くのお客様にご来場いただきましてお楽しみ頂きましたこと、またご理解いただきましたことを本当に嬉しく思っております。また10月には大阪松竹座での再演ということになります。俳優さんは「髙木雄也さん」「中山優馬さん」「髙地優吾さん」の3名で「星の王子様」と、パトリック・シャンリーの「喜びの孤独な衝動」と「星降る夜に出かけよう」の3つの戯曲を組み合わせた一晩になりました。当然のことながら、私がこの3人の俳優さん達をどのように舞台に登場させるかということで、去年から企画も上がっていましたが、良い意味でお互いの緊張もあり、2カ月ほど稽古もできずに硬直状態になってしまいました。それは当然のことなのです。私が彼らに、踊ったり、歌ったり、芝居をしたりの舞台をどういう風に作るかということを彼らに理解していただくことは本当に難しいことでしたが、今回は音楽の長谷川雄大様に多大な力添えをいただきまして彼から出演者と十分な話し合いをして頂いて実現にこぎつけたのです。実際のお稽古は、2月から始まりましたが、順調に進んで行ったのは3月、4月、5月でした。照明家の中村さん、音響のSBSさん、演出助手さん。舞台監督さん、衣装デザイナーさん、振付師さんなどの様々なスタッフに助けられて無事に初日を開けることができました。初日はいささか緊張しましたが、それは自分も含めて、出演者も、舞台制作者も当然のことだったと思います。お陰様で順調に公演が進みまして10回の公演が無事に千秋楽を迎えられました。出演の俳優さんのご要望により、千秋楽のカーテンコールで私も舞台に出させていただきました。私としましてはとても恥ずかしいことでもありましたけれども、ご来場の皆様にもご理解いただけて嬉しく思いました。この公演で、3人の俳優さん舞台やテレビやコンサートで活躍されている方々が1940年代、1950年代あるいは1970年代のJポップなどの素晴らしい曲を歌ったらどんな雰囲気になるのだろうと、とても楽しみにしていたのです。さすがに様々な経験をしているこの俳優さん方なので、充分に華やかな舞台が繰り広げられたことが、演出家として嬉しく思いますし、将来が見えて来たような気もします。22日に無事に千秋楽を迎え東京に帰って来まして、10月の再演に対してどのよう新しい面を付け加えたらいいか、またこの先どのような舞台を作れるかと楽しく考えられる時間を持てたことが、わたくしの幸せでもあります。5月3日からの姫路城三の丸広場での「天守物語」の演出させていただきましたことに続いて、この6月の「星降る夜に出かけよう」などの演出家として改めて出発できたことを嬉しく思います。

 また富山県で7月1日に開館いたします「オバード・ホール中劇場」で「アマテラス幻想」を上演させていただきます。2000年から佐渡の鼓動の拠点に通いながら作りました「アマテラス」を一時間の舞台に作り直したものでございます。そしてこの舞台が終わって7月2日に帰京しますと、いよいよ7月の22日から南座での「人生は歌だけ」と題したコンサート、また「夏のひととき」、そして8月には「怪談牡丹燈籠」を愛之助さんとご一緒に上演させていただきますのでその準備もしてまいります。去年も8月には「四谷怪談」を上演させていただきましたが、今年も夏のことですので、皆さんからも怪談話をということでございました。この「牡丹燈籠」は「四谷怪談」とはかなり違う雰囲気を持っております。「牡丹燈籠」の「怪談は人の心の中にある」という恐ろしさと、お芝居の表面には笑いが満載されているお芝居なのです。笑えるお芝居というのは日本には実に少ないものでございます。私は、この「牡丹燈籠」は大変好きな芝居ですし、笑いながら悲しさや儚さが漂うお芝居です。また「ふるあめりかに袖はぬらさじ」も大好きなお芝居です。7月の末には梅雨明けもします。何卒皆さまに於かれましては南座にご来場くださいますようお願い申し上げます。   

 8月も1ヵ月間の公演が無事に進んでまいりますれば幸せでございます。また8月が過ぎますと、9月のバールームでの公演の準備となるわけでございます。暑さ厳しい折から、皆様お体にお気を付けてお過ごしくださいませ。 

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