皆様あけましておめでとうございます。1年があっと言う間に過ぎ、今年のお正月は大阪松竹座100年記念公演に出演させて頂いております。
去年の12月は十三代目市川團十郎白猿さんと八代目市川新之助さんの襲名公演ということで、11月後半に「白玉」と、12月前半は「揚巻」と後半は母「満江」を務めさせていただきました。揚巻を過去に務めました時は、さよなら歌舞伎座公演でございました。その前は十五代目片岡仁左衛門さんの襲名。十一代目市川海老蔵さんの襲名の時にも務めさせて頂きました。その頃は、「助六」の前にもお役がいくつかあってから「口上」そして「揚巻」だったのです。今回は「口上」には出演せずに「揚巻」のみ演じさせていただきました。かなり充実した時間を取って支度が出来ましたので無事に務めることが出来ました。
また母「満江」は私が大好きなお役でございます。私の時代は、尾上多賀之丞先輩、六世中村歌右衛門さん、十七世中村勘三郎先生などの「満江」を拝見しておりまして、『素晴らしいな・・・』と思っており、今となってはこういうお役は本当に大事だということを思うのでございます。「揚巻」もこの一役で最後とは思っておりましたが、意外と『演じられるものだなぁ』と今回は思えたのでございます。
実は6月から「揚巻」の恰好をして下駄を履いて歩けるかどうか、終演後に練習しておりました。6月「ふるあめりかに袖はぬらさじ」の終演後と、10月御園座公演の終演後に劇場をお借りしまして、歩く練習をしていたのです。11月は後半に「白玉」で1週間歩かせていただきましたので突然「揚巻」ということではなく十分な準備が出来たわけでございます。
12月も無事に終演を迎え色々と考えておりましたが、團十郎さんもこれからの歌舞伎界を引っ張って行ける存在になって下さることを願っておりますし、新之助さんは大変なお芝居好きと伺っております。新しい新之助さんもこれから海老蔵、団十郎へと成長なされていくのでしょう。様々な意味で大変期待されるこの襲名披露興行でございました。
このお正月は5日が初日です。皆様におかれましては今回の「幽玄」をお楽しみいただけましたら幸せでございます。
いつもお話いたします、年の瀬、年明けといいことになりますが、年の瀬は何故か心が清々としてくるものでございます。「一夜明ければ賑やかで」という歌もありますが、深々と除夜の鐘を聞きながら大晦日を感じ、夜が明けてしまえば賑やかな日常とが戻って参ります。私はいつも年の瀬を特別な思いを感じながら過ごしております。
さて、話は変わりますがこの12月NHKの歌番組で「Da-iCE」というダンス&ボーカルグループの歌を聴きました。10年ほど前から結成されていたみたいですが、私はテレビやネットを沢山観る方ではなく不勉強で、彼らのことをあまり知りませんでした。日本人としては非常に力のある発声法で歌っていることに大変感心し、嬉しく思ったのです。海外で勉強してきたのでしょうか…独学であるならば本当によく歌というものを把握されているんだなと感動したのです。これからどんなご活躍をなさるのかファンとして見ていきたいと思いました。
今年はどんな年のなりますでしょうか。私は2月お休みをいただきます。そして春の3月の歌舞伎座、4月の仁左衛門さんとの「源氏店」に向かって行きたいと思いますが、まずはこの1月の舞台を無事に務めたいと思います。「幽玄」をいずれも様にお楽しみいただけますように精一杯務めたいと思っております。
まだまだ油断のならない時期が続くようでございます。皆様どうぞお体お大事にお過ごし下さいませ。
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