皆様いかがお過ごしでしょうか。7月に入りました。去年の8月に南座で愛之助さんと演じさせていただいた「牡丹燈籠」を6月1日から9日まで御園座にて上演させていただきました。5月の29日に名古屋へ入りまして休演日を挟んで合計8回の公演でした。今回の御園座出演は昨年10月以来でございました。御園座は南座よりも大きい劇場ですので少し雰囲気が違った思いですが、精一杯務めさせていただきました。大勢のお客様にもご来場いただきまして、9日に千秋楽を迎え、そのまま京都入り致しまして、南座特別公演「阿古屋」に向かったわけです。「阿古屋」の三曲のお稽古は5月から始めまして、御園座へも楽器を持って行き、楽屋でもお稽古しておりました。「阿古屋」は6月10日から南座でお稽古が始まり、11日に舞台稽古をしまして12日に初日を迎え、26日まで上演させていただきました。今回はまず始めに私が「口上」をのべさせて頂きまして、その後、片岡千次郎さんによる「阿古屋」の解説をつけさせていただきました。「阿古屋」(琴責めの段)は一幕だけでも独立した完成度の高いお芝居であるために、背景にある物語を忘れがちになってしまうこともあると思い、歌舞伎をよくご存知の方には大変失礼かとも思いましたが、初めての方にもご理解頂けるように「口上」の後に「解説」をつけさせていただきました。5年前に南座で上演させていただきました際、ご覧になれなかった方もいらっしゃるということで、今回の公演になったわけでございます。
さて、この6月は、梅雨入りが大変に遅れましたが、そのお陰で中旬までは気持ちの良い名古屋と京都の日々を過ごさせて頂きました。しかし20日過ぎにいよいよ梅雨入りとなりまして、雨の日も多かったのですが、無事に千秋楽を迎えることができました。南座も連日多くのお客様を迎えることができましたこと私も大変に嬉しく、改めて皆さまに御礼申し上げる次第でございます。
私は21歳の時に初めて京都南座の顔見世興行に出させていただいたのですが、その後、毎年8月に13代目片岡仁左衛門さんのご一家の方々と花形歌舞伎を上演させていただきまして、数々の大役を勉強させていただいたわけでございます。多くのお客様にご来場いただきまして、3月にも南座公演を続けさせていただきました。その後40代からは特別舞踊公演や「アマテラス」等、様々な公演を上演させていただきました。その頃はあちらこちらの京都の名所旧跡を訪ねていたのですが、近年はやはり公演の責任を感じまして、真っ直ぐホテルに帰り、明日のための準備という毎日でした。今回の名古屋も外に出かけることがなく、ホテルと劇場の往復だけでございました。今の京都は海外の方が多くいらっしゃっていまして、さぞ「時代がタイムスリップしたように、昔の街並みを歩いていらっしゃる気分なんだろうなあ・・・」と感じました。京都を楽しんでくださる海外の方々を見ながら、今の日本が様々な方から楽しんでもらえていることを嬉しく思いました。しかし、混雑しているときはタクシーなどを停めることが困難なこともありました。道が常に混んでおりまして、劇場へ通う際には大変なこともありました。しかし素晴らしい京都、お料理も美味しく、朝な夕なの東山、そして雨は雨なりの鴨川を感じることができる京都でした。
さて、これからは7月末に開幕致します「星列車で行こう」の集中稽古が始まります。そしてまた、京都に入りまして、27日に「星列車で行こう」の初日を迎えさせて頂きます。また7月の25日には歌舞伎座で、小朝さんとの「牡丹燈籠」の「御札はがし」の段を2人で高座に上がらせて頂き、そのあとは「越路吹雪物語」の上演でございます。この公演も完売御礼ということで、誠にありがとうございます。
8月は皆様にお楽しみいただけるものを作るためにいろいろな準備をさせていただきたいと思っております。これからは梅雨の真っ最中となりまして、梅雨明けになりましたら猛暑となるのでございます。皆様お身体お大事にお過ごし下さいませ。
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