いよいよ12月になりました。皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。私にとって、この1年は本当に早かったと感じるのです。今年の元旦には地震の災害があり、夏には大雨による災害等で、被災なされた方々は本当に大変な思いをされたと思います。心からお見舞い申し上げます。
また大雨で新幹線も度々遅れたりしたこともあり、お正月公演のために大阪へ行き来する時には無事に往復できるようにと願っております。そのようなことからも、考えれば考える程早い1年だったのです。仕事の面ではご来場の皆さまのお陰で充実した舞台を務めることが出来ました。11月は熱海座に出演させていただきまして、その後は「越路吹雪物語」の公演を北九州と西宮で開催させていただきました。また11月末には「すみだトリフォニーホール」において、「お話と素踊り」の会を開催させていただきました。
11月のコメントでも申し上げましたが、12月11日には「夢の中に君がいる」というCDをリリースさせていただきます。今回のCDの仕上げを8月の録音時の後から11月初めにかけて行っておりました。自分の歌を改めてスピーカーから聞くというのは非常に恥ずかしい思いもします。つまり、自分の歌の粗ばかりが聞こえてしまうのです。しかし、このCDの中で演奏して下さっている演奏家さん達とは、7年程前からご一緒して来まして、一緒に録音室に入り歌を吹き込んで、それがこのような結果としてCDになり、コンサートなどの後で皆様にお渡しできるということで、演奏家さんも楽しみにしてくださっています。
今秋は、9月「吉野川」と、10月「婦系図」(湯島の境内)に出演させて頂き、大詰めの「源氏物語」では、市川染五郎さんとの初めての共演となり、2ヶ月間歌舞伎座の舞台で精一杯努めてまいりまして、10月の末から11月初めまで体を休めておりました。ところが熱海座の稽古に入りましてから体がきしむような感じがしたのです。やはり年齢のこともあり2ヶ月間精一杯やってきますと、どこか体に凝りというか、疲れのようなものがなかなか抜けて行かないような感覚がありました。しかし、熱海座の初日までには体も治り、今はお陰様で順調に過ごせておりますのでご安心下さい。その後の地方公演への移動では、座ったままの時間が長くなり、体には大変困難な部分もありました。最近では飛行機の遅延が度々ありますので、結局新幹線の到着時間とあまり変わらないということがございました。
11月に入って半ば過ぎますと急に寒さがやってきました。いよいよ冬がやって来たのだなと感じられます。最近の気候変動もあり、春と秋が短くなった気もするのです。また、この11月の末には市川團子さんとの「天守物語」のお稽古も少しずつさせていただきました。そしてまた、2025年の年明けの、1月松竹座の「長崎十二景」は35年振りとなります。12月の歌舞伎座の初日が開いてしまいますと、なかなか時間が取れないので、11月のうちに配役の皆さんと会ったり、振り付けをして頂いたりしながら過ごしておりました。その後はもろもろ細かいことを整理したり、12月から来年の1月、2月、3月と、大きなお仕事が入っておりまして、春まで何も出来ないという思いが致しまして、11月に全て済ませていたのでございます。
そんなこともあり9月や10月の1カ月よりも、この11月はあっという間に過ぎてしまったという気がします。またこの12月の「天守物語」も、もう上演することがないと思っておりましたが、團子さんと巡り合って、若い方々の力を借りて、新しい「富姫」を演じるという喜びを感じているのでございます。自分としましては、少しの不安が付きまとうこともありますが、皆様に是非、泉鏡花先生の名作をお送りさせて頂けるよう、精一杯努めて参りたいと思います。
またこの12月の末には松竹座へ行きまして、1月の仕込みを致しまして再度東京に返ってくるのでございます。何卒皆様、12月の歌舞伎座にご来場くださいますようお願い申し上げます。また、お時間がございましたら1月松竹座にもお運びくださいますようお願い申し上げます。
12月もあっという間に過ぎて年が明けるような気がしてなりません。
皆様、お寒さの折お身体お大事にお過ごしくださいませ。