皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
今年の年明けは地震による災害や、飛行機事故などが起こり、困難の多いお正月となってしまい、大阪松竹座の舞台上から、お見舞いの言葉を申し上げなければならない初春公演でした。せっかく現実を忘れ、初春の華やかさをお楽しみにいらっしゃって下さったお客様を現実に引き戻してしまうようなご挨拶になってしまったことが申し訳ない気持ちでいっぱいございました。災害に合われました方々には心からお見舞い申し上げますとともに一日も早く各地の復興をお祈り申し上げる次第です。しかしながら、ご来場下さったお客様には、何とか初春を感じていただかなければと思いまして、舞台を精一杯努めさせていただきました。お陰様でこの度の「お年玉公演」は盛況のうちに終了することができました。昨年、歌舞伎座で演じました「亀姫」の姿を見ていただくことに加えて「富姫」の姿も見て頂きました。亀姫ではお琴も弾かせて頂きましたが、久しぶりのことで、なかなか上手く弾けずにお恥ずかしい出来になってしまいました。本年松竹座は101年目を迎えるのでございます。この公演で松竹座の歴史を皆さまに映像でご紹介できましたことも良かったと思っております。
そして小朝さんとの2人の公演「はるのひととき」は、第一幕が「越路吹雪物語」という出し物で、私が越路さんの歌を歌わせていただくような新しい舞台になりました。この舞台は小朝さんの発案でもあり、公演が進んで行きますうちに、小朝さんも喜んで下さいましたし、私も嬉しい思いでございました。そしてこの公演も大盛況で幕を閉じさせて頂きました。また、26日~28日は松竹座では初めてのコンサートを開かせていただきました。
はや2月になりましたが、これからどんな年に成るのかと不安な気持ちにもなってしまいます。この先どんな運命を受け入れなければならないのかと思わざるを得ない1年の幕開けになりました。来年の年明けには、今年の正月の切なさを感じながら「明けましておめでとうございます」と言う気持ちになるのでございます。自然の摂理は無常でも有ります。大宇宙が創る運命は、どのように人間が生きて行っても巡ってくるもののような気がいたします。この世に生を受けた以上は運命を背負っていくわけですが、せめて舞台の上だけは皆様と夢の時間を過ごして行きたいと思っているのでございます。私も昔から時間を過ごすと言うことに「どんな意味があるのか・・・」と考えて参ましたが、今になって痛切に感じらさせられることも多く有るのです。そういう意味で「あっという間に時を過ごせていたとしたら、人間は幸せなのではないか・・・」という気がするのです。これからも、一つ一つ小さな幸せを見つけながら生きて行きたいと思っております。世界全体も難しい社会になりました。旅をするのも困難な時がやって来てしまいました。私が言うまでもないことでもありますが、一日も早く平和が戻ってきますことを祈っているのでございます。これから桜の花が咲く春を迎えるにつけ、それを願いつつ、さらに皆様に心慰められる舞台を務めたいと思っております。
まだまだ風邪やコロナの流行もあるようでございます。私も公演のために気を引き締めてまいります。皆さまもお体を大事にお健やかにお過ごし下さいませ。
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