皆様いかがお過ごしですか。5月がやってまいりました。
4月のコメントでも申し上げました通り、今年は桜の開花が遅れて、4月の10日頃まで桜が見られることが出来ました。しかし、桜が咲いてからは雨が降ったり風が吹いたり、寒い日が続ききましたし、去年の桜も3月の半ばからの開花の後に、雨の日が多かった記憶がございます。
「月に叢雲、花に風」という言葉、実にその通りだなと思いましたが、4月の初めまで見られた桜は本当に美しく、また散り際が歌舞伎の雪のようにチラチラと散って、風が吹けば建物の上の方まで花びらが舞い上がっていく風情を見ることができました。
4月は歌舞伎座で仁左衛門さんとご一緒に「於染久松色読販」の「煙草屋」と「ゆすり場」の上演と清元の「神田祭」を踊らせていただきました。お陰様で大入りのうちに千秋楽を迎えられることが出来、本当に有難うございました。歌舞伎座で毎日無事に舞台を務めることに終始しておりましたので、今月はご報告することが少ないのでございます。歌舞伎座と自宅の往復のみで、舞台が終わってからは、疲れを残さないようにトレーナーに体をほぐしてもらったり、体操したりという自分の体調管理の毎日でしたが、ときにはゆっくりとテレビを観たりしました。「スポーツ・ヒューマン」というインタビュー番組を拝見したのですが、自分の体力を限界まで使い、青春の時間を使い、人生を使ってきたオリンピックに出られた選手の方達の素晴らしい言葉の数々が、決して力んだ言葉ではなく、何気に口から出てくることに感動したのでした。私共も10代から大役をやらせていただきましたので、合い通じるところもありました。ただスポーツ選手は活躍する年数が短いということもあり、貴重な時間を過ごされたのだなあと思います。またスポーツの世界とは違うことではありますが、私どもは、こうした年代まで舞台に立たせて頂けるわけでございます。スポーツマンの心の持ち方、体の管理の仕方や鍛え方、維持の仕方を痛感させられる番組も数々あり感動した4月でした。
また、4月の後半には、歌舞伎座に通う道につつじが咲いていて、千秋楽近くにはつつじが美しく散り、色とりどりの春で、日本の特別な雰囲気を味わうことが出来ました。
今のような世界の状況もあり、歌舞伎座へ通っておりますと、銀座通りに海外の方々が大勢いらっしゃって、銀座や六本木、また他にも美しく開発された街が世界的に楽しんでいただける東京になったのだなと感じました。私達が若いころは、ニューヨーク、パリ、ロンドンという欧米の都市が素晴らしいと思って、日本はまだまだ成長期なのだということを感じたのですが、今は海外の方々が浅草や銀座の写真を撮りながら楽しんでいるところを見ると「ああ、こんなに美しい日本になったんだ」とつくづく考えるのでございます。これからはこうして作ってきた日本を、また世界を、人間がどのように掃除をして行くのかという時代には入って行く訳です。
この春はそのような喜びを感じられた時を幸せだと思いました。もうすぐパリでもオリンピックが開催されます。
5月初旬には少しのお仕事をしまして、15日からは八千代座で舞踊公演を開催させていただきます。その時期はちょうど蛍が見られる時期になります。皆さんもご来場くださいました際には蛍を見に行かれてはいかがでしょうか。
そして6月御園座の「牡丹燈籠」、南座の「阿古屋」に向かってお稽古をして行きたいと思っております。
それでは皆様が素晴らしい5月をお過ごしなされますようお祈り申し上げます。
『星列車で行こう』期待しています! Have a wonderful day 😄🤍🤎
4月の仁左衛門さんとの歌舞伎座の舞台を観劇しまして、本当にこのお二人と同じ時代に生きてて良かった〜!と心底思いました。とても素敵でした。八千代座も行きたかったのですが残念ながら都合がつかず、、地元・熊本の八千代座に玉三郎さんが来てくださるのは本当に嬉しいです。舞台でお疲れの体を温泉で癒して、おいしいものも食べてゆっくりしてくださいね。