
皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。3月になりました。末にはいよいよ桜の開花が待たれる時期となりました。
2月は寒い日が続きましたし、日本海側の方では大雪ということで、往来が困難なこともあったと思います。お見舞いの言いようのない事故も起こり、戦争もあり、明るいニュースがなかなか有りませんでした。せめて桜が咲くのを待ちたいと思うばかりでございます。
2月は歌舞伎座で久しぶりの「阿古屋」でということで、いつもの通り、自宅と歌舞伎座と往復の毎日だけで過ごしました。松竹座や南座、八千代座などの地方公演では14時開演でしたので、私は朝10時に朝食を摂り14時の開演に向かい、そして終演後、夕食ということなのですが、今回は16時半の開演ということで、地方公演のスケジュールですと夕食後すぐに出番ということになってしまいます。「阿古屋」の前帯の傾城で花道を出て行く、しかも少しうつむいて三曲を弾くというお芝居で、食事時間が問題になったのです。そこで今回は時差を作りまして、正午12時くらいの朝食に致しまして、舞台が終わりましてから夕食というように時間調整をしました。それが上手くいったようで、思いのほか調子も良く舞台に出られた2月の歌舞伎座でした。インフルエンザやコロナもまだ下火になっておりませんでしたが、お陰様で1月の松竹座、2月の歌舞伎座も座内では感染者もなく、大入りの中、無事に千秋楽を迎えることが出来ました。阿古屋の終演後は、19時頃帰宅しまして、トレーナーに身体をメンテナンスしてもらいまして、少し遅めに就寝することにしていました。そこで、今月の夜はドキュメンタリー番組等を主に観て過ごしました。「映像の世紀」という番組や「中国のハゲタカ」という番組を観まして、改めて人生というものを感じていたのでございます。大変な思いをして暮らしている人たちの哲学を、身に染みて感じ、感動という言葉では言い表せませんが、人間が生きて行くということをしみじみ考えさせられる番組ばかりでした。「ラストエンペラー~中国最後の皇帝」のドキュメンタリー、そしてベトナム戦争がどうして終わっていたかという「ベトナム」のドキュメンタリー。それから麻薬がどうやってアメリカに入って行き、世界中を侵して行ったかという「麻薬」のドキュメンタリーなどを観た2月だったのでございます。もちろん他の番組もみましたが、特にドキュメンタリーは心に沁みて来るものがありました。
さて、3月は各地方を「お話と素踊り」の会で回らせていただきます。そして4月はお休みいただきまして、どこか旅行などに行けたらと思っております。
5月には八代目菊五郎襲名興行がありまして、私も襲名にどのように参加したらよいかといろいろ考えておりました。そこで過去に菊之助さんと二人道成寺を踊っておりましたことを思い出し、当初、菊之助さんと丑之介さんで「京鹿子娘道成寺」を踊られるということだったのですが、急遽三人の花子として加わらせて頂くことになりました。丑之助さんのお稽古をしながらも、自分も体を整えて5月の襲名の初日に向かって行きたいと思っております。菊之助さんは、今年新菊五郎として各地方で襲名興行もございましょうし、ご両親も見守り励まして、新しい尾上菊五郎という時代を築き上げてくれることを大いに期待しております。
そのようなわけで、皆様とは「お話と素踊り」以外では5月まで舞台でお目にかかることができませんが、何卒お許し下さいませ。
待たれる春がやってまいります。皆様お健やかにお過ごしくださいませ。
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